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野村元監督のID野球 選手寿命が延びた選手

スコア表

野村元監督のID野球を語るには、南海ホークスの名物スコアラーだった尾張久次さんの存在が欠かせません。

昨今のスコアラーといえば、試合経過の詳細をスコアブックに記しているイメージが強いです。しかし、野村元監督の現役時代は、契約更新用の査定のために自チームの選手のデータを取ることがスコアラーの主な仕事でした。現役の野村選手は、投手の配球を読むカギがこのデータにあると思い、尾張さんにこう頼んだのです。「相手投手が私に投げてくる球種とコースを毎試合つけてもらえませんか」尾張さんは「お安い御用だ」と、気軽に請負ました。これが、野村選手に大きな転機をもたらすことになります。そのデータを家に持ち帰って並べると、それぞれの投手の配球グセが、はっきりと見えたのです。ID野球誕生の瞬間です。

その後、野村元監督がID野球を駆使して、セリーグで強いチームを作り上げたことは有名ですが、楽天の監督時代のエピソードも紹介します。

伊原監督に不満をぶちまけて暴れた山崎武司選手は、引退を覚悟して楽天に移籍してきました。来た球をただ振るだけのバッティングをしていた山崎選手に野村元監督はID野球をレクチャーしました。すると、山崎選手は39歳で打撃が開眼し、ホームラン王も獲得しました。そして、その後は44歳まで現役を続けました。オリックス時代は暴れ馬として有名だった山崎選手は、ID野球のもとで打撃を一新させ、選手寿命を伸ばすことができたのです。

バッティング